昨今では手作り味噌を仕込む方が増えていますね。
発酵食や保存食、季節の手仕事に価値を感じ、楽しむ方も多いと思います。
産膜酵母とは酵母菌の一種です。
白い膜を作り出す特徴があり、カビではなく微生物です。
味噌やぬか床、仕込んだ醤油の表面に見られることが多いです。
今回はこの産膜酵母について詳しくご紹介しましょう。
産膜酵母(さんまくこうぼ)とは
仕込んだ手作り味噌の様子を見てみたら、
表面にカビのように見える白いものが発生している…!
あぁ、失敗してしまった…
もう食べられないのかな…
あんなに頑張って仕込んだのに…
このような状況をご経験されている方も多いかと思います。
そもそも味噌は生きているので、カビが生えて当たり前。
味噌屋さんでもカビが生えるようなので、全く問題ありません。
気になってしまい、ちらちらとのぞき込む度に、味噌の表面が空気に触れてしまうので、熟成が終わる頃合いまでは、数回様子を見るくらいで構いません。
ご家庭での味噌作りでのカビの発生の原因は、豆・塩・麹のみで仕込み、防カビ剤などを使っていませんし、無添加で保存料不使用の為と考えられます。
そこで気になるのは「一体、この白いものはなんなんだ?体に害はあるのか?」ということですよね。
カビの種類と産膜酵母との違い
カビにも種類があります。
カビの色別には白・青・黒があります。
味噌の「表面」にできる白い膜状のものはカビではなく、産膜酵母という酵母菌の一種です。
味噌の「内部」にできる白い粒々のものは「チロシン」と言われるアミノ酸の一種です。
青いカビ・黒いカビ
パンやお餅などによく発生する青カビ。
毒性が弱く健康な人は食べても問題ありませんが、青カビが生えた食べ物を摂取するとアレルギーや喘息を引き起こすこともある為、見つけた時点で取り除く方が望ましいです。
味噌に生えている青カビも同様に、見つけた時点で、カビの周りも含めて大きくごっそりと捨ててしまいましょう。
黒いカビも味噌の表面や内側に発生することがあります。その場合も同様に取り除いてください。
白い膜状のものは産膜酵母
産膜酵母とは、カビではなく微生物です。
ぬか床や味噌の表面によく見られる、白い雪のように表面一面にびっしりと膜を張っているように見えます。
これはカビではなく、身体には無害の産膜酵母で、むしろ味噌の発酵と熟成にとって有用な微生物です。
有用な微生物なので、味噌の完成までは気になりますが、そのまま引き続き見守りましょう。
味噌の熟成が終わり食べられるときになったら、見た目や風味を損なうため、取り除いてください。
※熟成の途中段階で見つけてしまい心情的に気になるという方は、見つけた時点で取り除いて構いません。
基本的にそのまま使っても身体に害はないため構いませんが、産膜酵母が増えすぎると、独特のツンとくるシンナー臭がしてきます。
味噌の話ではないですが、私は過去にぬか床をかき混ぜない状態で放置したときに、表面一面にびっしりと、産膜酵母が発生しました。
そのくらいまで産膜酵母が増えると、シンナー臭がきつい為、その部分は取り除きましょう。
産膜酵母は食べても無害ですが、見た目や風味が損なわれるため取り除くことをオススメします。
カビか産膜酵母かわからなくて、見た目での判断に困る場合
まず最初に味噌全体の匂いを嗅いでみましょう。
美味しそうな味噌の発酵の匂いがすればOKです。
対して馬糞のような、「これ食べ物としてはダメでしょ…」という匂いがする場合は、全体的にカビが広がってしまっている状態です。
その場合、カビと思われる部分を大きめにごっそりと捨て、消毒済みの新しい容器に大丈夫な部分のみ、移し変えます。
再度、確認すること
手作り味噌の保管場所
- 湿度が高くないところ
- 風通しが良いところ
- 人が過ごしやすい場所(人も味噌も同じ)
- 直射日光の当たらない場所
- 常温で保存(季節の自然な温度変化に委ねる天然醸造が望ましい)
- 気にかけてあげられる場所(味噌は生き物のため、我が子のように気にかけてあげる)
確認すること
- 内側に、アリの巣みたいな空気の部分がないか
- 味噌にのせている重しの「圧」が全体に均等にかかっているか
- 表面のラップは、味噌に完全に密着していて空気に触れていないか
まとめ
味噌作りは待つのも仕事です。
せっかちな方によくありがちですが、待てずに何度も様子を見てしまうと、その度に空気を送り込んでしまうので悪影響です。
発酵・熟成が進み、完成するまで楽しみに気長に待ちましょう。